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東京高等裁判所 昭和41年(ラ)384号 決定

理由

本件記録によると、原裁判所は別紙物件目録記載の二筆の不動産につき一括して競落を許可したものであるが、そのうち同記載の(一)の不動産についてだけ住宅金融公庫のため本件競売申立債権者の抵当権に優先する順位の抵当権が設定されている事実を認めることができる。このような場合債権者は右(一)の不動産については先順位の抵当権者の債権に弁済された残額のみから弁済を受け得るに止るから抵当権実行に当つてはその先順位の抵当権の目的となつた不動産とその他の不動産の競売売得金額を、各別に確定することができなければならない。ところが本件競売手続においては当初から右二筆を一括した単一の最低競売価額が定められ、原決定にも一括した単一の競売価額だけを掲げているのであつて、これでは各債権者が弁済を受けられる金額を確定することができないから、競落は不適法と解すべきである(昭和六年五月一日大審院第五民事部決定参照)。

よつて原決定を取り消し本件競落を許さないこととして主文のとおり決定した。

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